「IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書 概要及びよくある質問と回答」は面白いよ
数日前の朝、出勤前にNHKのテレビニュースを見ていたら、環境省の2099年までの30年間の日本国内の平均気温は、1990年までの30年間に比べ、最悪で4.7℃上昇する分析結果を報じていました。
少し気になったので、環境省のウェブサイトでこの分析結果に関する資料を探したのですが、残念ながら見つけることができませんでした。まだ、アップロードされていないことも考えられるので、後日探してみようと思います。
NHKの報道によると、環境省の分析は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測をもとにしているとのこと。
IPCCの予測は、気象庁の「IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書 概要及びよくある質問と回答(2007,確定訳)」(PDF)で読むことができます。この気象庁の確定訳は、Q&A形式を盛込みとてもわかりやすく、面白く読めます。
ところで、よくIPCCの予測は、今世紀末に6.4℃気温が上昇すると報じられます。勿論、6.4℃の前に"最大"とか"最悪"と付きますが。報道する側も報告書を読んだ上での記述だろうから、警告の意味で6.4℃を取り上げているのでしょう。
IPCCの予測は表1のようにおおまかに6つのシナリオを想定し、6つのシナリオにおける世界気温の上昇の不確実性の幅を1.1℃から6.4℃としています。図1はそれをグラフにしたものです。
また、海面水位上昇は、18~59cmと予測しています。
なお、6.4℃はA1FIシナリオの最大値です。
各シナリオが想定する社会環境は表2のとおりです。
気象変動に関する政府間パネル作業グループⅢ特別報告(PDF)
A1FIシナリオは、化石エネルギー源を中心とし、2100年の世界人口を70億人としています。その条件下で、1980~1999年に比べ2090~2099年は気温が平均4.0℃(2.4~6.4℃)上昇すると予測しています。
100年後の気象を人為的な環境を加味して予測する、正に複雑系の世界の予測過程はどんなものでしょうか?
ただ、この予測をひとつの基準として、様々な政策がこれから展開されるんだろうな。
温暖化で4度7分上昇と予測
地球温暖化をめぐっては、各国の科学者などで作るIPCC=気候変動に関する政府間パネルが、世界の平均気温が今世紀末には最悪の場合、6度4分上昇するという予測を去年2月に発表しています。環境省は、温暖化対策に役立てるため、予測に使われたデータの一部を利用して、日本の気候変化について分析を進めてきました。その結果、温室効果ガスの削減があまり進まなかったケースを想定すると、2099年までの30年間の国内の平均気温は、1990年までの30年間と比べて、最悪で4度7分上昇することがわかりました。地域別で見ると、気温の上昇の幅は北海道で最も大きく、5度8分と予測されています。また、年間に降る雨や雪の量にも変化が生じ、極端な場合、降水量は中国地方で22.4%増える一方、九州地方では8.4%減少するということです。環境省は「温暖化の影響は、将来、避けられない」として、こうした予測に基づいて、農業や災害などさまざまな分野で影響を最小限に食い止めるための検討を進め、ことし5月にも対応策を示したいとしています。
2008/01/09/NHK
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