「食料か、燃料か、」の時代が来るのかな?
2007.05.06のエントリー「エネルギー問題を考えさせられる大型連休だった」で少しふれた、沖縄 宮古島の「沖縄県宮古島バイオエタノール実証プロジェクト」。僕は、農作物からとったエタノールを燃料として使って、カーボン・ニュートラルを実現させるには、宮古島の取組みのように地産地消的な地域内流通でなければ難しいと思っていました。
ただ、宮古島の取組みもそれはそれで解決しなければならない問題があるんですね。そんな記事が日経産業新聞に載っていました。
エタノールの製造過程で使う重油を、サトウキビの搾りかすで置き代えたい、でも、搾りかすは農家が堆肥として利用し生産に活用している。
この問題って、最近の穀物相場の高騰の問題と似ているように思います。
米国でトウモロコシを燃料用エタノールの原料として利用するようになって、その値段が1ブッシェル当たり2ドル台だったものが3~4ドル台に上昇している。この価格高騰が、穀物を主食として輸入している貧しい国や飼料として使っている畜産農家に与える影響が心配されています。
OECDとFAOが最近、公表した「農業アウトルック 2007-2016」でも「食料か、燃料か、」という言葉を使って、今後10年間の世界が直面する問題として指摘してます。
これは、全体を見渡して、その便益とリスクを測って進めなければならない難しい問題ですね。
沸く、世界、揺れる宮古島
実は宮古島のエタノール事業は、現状では二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献していない。ガソリンをエタノールに代えて削減する分と同じ量のCO2がエタノールの製造段階で重油を燃やすことで排出されているのだ。
宮古島でのバイオエタノールの製造を政府から受託する石油販売会社の「りゅうせき」(沖縄県浦添市)は製造過程で出るサトウキビの搾りかすを重油に代わる燃料として使いたい意向だ。
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だが、宮古島では搾りかすはこれまで農家が堆肥(たいひ)に加工して畑に還元してきた貴重な資源。同島の農地は石灰質で養分が少なく、農家にとって搾りかすを使って作った堆肥は島の農業には欠かせない有機質肥料だ。
2007/07/13/日経産業新聞
OUTLOOK IN BRIEF
● Currently strong world market prices for many agricultural commodities in international trade are, in large measure, due to factors of a temporary nature, such as drought related supply shortfalls, and low stocks. But, structural changes such as increased feedstock demand for biofuel production, and the reduction of surpluses due to past policy reforms, may keep prices above historic equilibrium levels during the next 10 years.
● Higher commodity prices are a particular concern for net food importing developing countries as well as the poor in urban populations, and will evoke on-going debate on the “food versus fuel” issue. Furthermore, while higher biofuel feedstock prices support incomes of producers of these products, they imply higher costs and lower incomes for producers that use the same feedstock in the form of animal feed.
2007/07/04/OECD-FAO Agricultural Outlook 2007-2016/OECD-FAO
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