安心社会から信頼社会へ/山岸俊男
Web2.0の底流に、他者に対する信頼という考えがあるのだと思います。それは、魅力的ですが、これからの社会の基本的な考え方になるのか、単なる幻想に過ぎないのか、興味があります。
そんなこともあって「信頼」という言葉が、最近、気になっていました。
僕は、山岸俊男の「安心社会から信頼社会へ」を読むまでは、「信頼」があって「安心」があると、漠然と思っていました。
しかし、この本では、「信頼」と「安心」を明確に分けています。
安心は、社会における不確実性を最小限にすることで得ることができ、信頼があるとかないとかとは直接は関係ないということに、読んでいて気がつきました。
そして、信頼は不確実な状況の中で、他者に対する考え方の問題でであるということ。
本では、社会心理学の多くの実験結果を例に、そのことが語られます。
この実験結果自体は興味深く説得力のあるものですが、0.4程度の相関係数をかなり強い正の相関としているところがちょっと気になりました。
監視や規制により得られる安心社会より、不確実な状況の下で他者を信頼する社会のほうが、素敵ではあるけれど、どうしたらそういった社会を作れるのか難しい問題ですね。
安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方
山岸俊男/中央公論新社(中公新書)/1999
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